「ユビキタス」とは 「ど こにでもある」という意味の英語で,正確には「ユビキタスコンピュータ」というそうです。コンピュータというと,普通はパソコンを連想しますが,現在はい ろいろなところにコンピュータが組み込まれていることを知っていますか。例えば,車のエンジン,携帯電話,洗濯機,エアコンなどなど。携帯電話には2〜3 個 のキャラメルくらいの小さなコンピュータ(マイクロコンピュータ)が埋め込まれているそうです。そして,世界で1年間に生産されるコンピュータ100億台 のうち98%はこうした組み込みコンピュータであるとのことです。
「ユビキタス」という考え方は この組み込みコンピュータをさら に広め,あらゆる場所にコンピュータがある社会環境を目指すというものです。道路や駅などだけではなく,例えば薬や食品のパッケージに埋め込む実験が既に 行われているそうです。 これが視覚障害者にとってどのようなメリットとなるかというと,例えば点字ブロックの下にマイコンを埋め込んでおいて,その上を電子白杖を持った人が通る と,住所や道案内を音声で知らせたり,受信機を持った人がエレベータに乗ると音声で案内したりといった具合です。さらに,薬が処方箋と一致しているかと か,お弁当の賞味期限が切れているなんてことまで音声で知らせてくれるようになるとのことです。 そして,この「ユビキタス」は視覚障害者だけでなく,あらゆる障害者や高齢者,あるいは初めてその地域を訪れた人や外国人などにとってもたいへん有益なシ ステムになりうるとのことです。例えば,点字ブロックに埋め込んだマイコンは外国人には外国語で案内をすることができます。また,将来,ロボットが街を歩 いている時代が来たときには,点字ブロックの下のマイコンによってロボットをコントロールすることにも役立つとのことです。
このように、ユビキタス時代が訪れれば,視覚 障害者にとって今よりもきっと便利な生活になると思われます。 ただ,今後の課題とされているのは企画を統一すること,つまり標準化(インフラ化)であると言われています。 視覚に障害を持つ人を含め,みなさんがユビキタスの恩恵を受けるにはもう少し時間がかかりそうです。
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